【高圧プレス装置】 大正8年(1919)安治川鉄工所製、150kN
梃子の応用で、支点から2mの所に1,500kgの錘を吊るすことにより、 支点から20cmの所の試料部に最大15tonの荷重を加えることができる装置。 計算上は直径10mmの円柱試料に2万気圧の圧力がかかることになる。 志田は早くから深発地震の存在の可能性に注目していた。 高圧下における岩石の物性を研究するために用いた重錘式圧縮装置を作った記録が残る。 大正7年(1918)、京都帝国大学教授志田順、助教授松山基範の連名で、 『高圧力ニ於ケル物性ノ研究』という課題で文部省に助成金を申請、これを使って大阪の安治川鉄工所に発注。 大正8年3月に京都帝国大学理工課に納入。 観測所の開設(昭和5年)とほぼ同時に阿武山に移設された。 この装置は現在も、当観測所の西館1階に当時研究に使われていた姿のまま保存されている。
※【深発地震の発見】大正15年(1926) 以前は、地下300km以上の深い所では岩盤圧力が高いために地震は発生しないと考えられていた。 しかし志田は、今までの観測結果から見て、もっと深い所で発生したとしか考えられない地震がある事を発見した。 これは、後のプレートテクトニクス理論に繋がる重要な発見であった。 志田はこれを、大正15年(1926)10月28日に別府で開かれた地球物理研究所開所式で発表。 この発見内容をレジュメの形で出席者に配布した(しかし、論文としての正式な発表はしていない)。