【横型フライス盤】 シンシナティマシナリー社製
シンシナティ(Cincinnati)ブランドは、世界に誇る米国の工作機械メーカーでした。 当時のみならず戦後も国産メーカーにとって長い間仰ぎ見る存在でした。 鋳物製造技術をもとに多くの工作機械を作っていましたが、その1つがこのフライス盤です。 ほとんどの部分が鋳物で作られ、剛性の高い構造となっています。 例えば駆動部のカバーは美しい丸みを帯びた、本体と一体的につながった形です。 そしてモーター動力を主軸に伝える電動要素として、サイレントチェーンが使われています。 サイレントチェーンは最新エンジンのカムシャフト部に使われている高級部品ですが、この時代にすでに使われていたとは、驚きです。 加工テーブルを上下・左右・前後に動かす機構は今でもハンドルで軽く動かせます。 当然現役としても使えます。 銘板に数多くの特許で守られていると誇らしげに書かれています。 間違いなく当時の世界最高峰の工作機械であったろうと思われます。 付け加えるならば、昭和15年(1940)には米国からの工作機械が禁輸になっております。 まさに戦前にこの時期にかような工作機械がここ阿武山観測所に導入されたことは、ここを設立するにあたっての思い・熱意が感じられます。 銘板が碌々商店製作部となっているのは商社部門と分けるための意気込みと思われます。